道路交通法の改正と歴史 8
2007年(平成19年)
「普通自動車」及び「大型自動車」の区分を、「普通自動車」「中型自動車」及び「大型自動車」に見直し。 飲酒運転に対する罰則の強化。
飲酒運転に対する罰則引上げ(最高で懲役3年、罰金50万→懲役5年、罰金100万)。
飲酒検知拒否罪に対する罰則引上げ(最高で罰金30万→懲役3月、罰金50万)。
「車両の提供」、「酒類の提供」、「同乗行為」の禁止・罰則を新設。
救護義務違反(ひき逃げ)に対する罰則の強化(最高で懲役5年、罰金50万→懲役10年、罰金100万)。
度重なる飲酒での不幸な事故が引き金となり、飲酒運転が厳罰化しました。今まではドライバーだけが摘発されていましたが、数人で酒を飲んで運転すれば同乗者も連帯責任。「一台で合計100万円の罰金」ということもあります。
2008年(平成20年)
後部座席のシートベルト着用義務化。
高齢運転者標識(もみじマーク)の表示義務化。
聴覚障害者標識(蝶マーク、蝶々マーク)の導入と表示義務化。
自転車歩道通行の要件を事実上緩和。
2009年(平成21年)
高齢運転者標識(もみじマーク)の表示義務化は、罰則のない努力義務に戻された。
高齢者と障害者、妊婦専用の駐車区間を設けることができるようになった。
高速・自動車専用道でのあおり行為(車間距離保持義務違反)の罰則を「5万円以下の罰金」から「3月以下の懲役か5万円以下の罰金」に強化した。
内閣府告示に定める構造を有する三輪の自動車について自動二輪車と見做す(特定二輪車)規定を追加する道路交通法施行規則改正が行われた。
バイクの後輪を改造して三輪車にした「トライク」が流行りました。
2012年(平成24年)
道路標識・道路標示により転回禁止の規制をしている場所を除いて、右折矢印信号での転回(Uターン)が可能になった。
2014年(平成26年)
運転に支障を来す疾患の運転免許証の取得・更新時の虚偽申告に対する罰則化。
環状交差点での通行方法が決定(定義・交通方法など)。
2015年(平成27年)
自転車の交通違反について、罰則規定の強化。
酒気帯び運転や過労運転等で交通事故を起こして人を傷つけた場合も、運転免許の仮停止の対象になった。
スポーツタイプの自転車がブームとなり、歩行者、自動車と度々事故が起きています。そのため道路に自転車専用レーンを多く設けるようになってきます。
2017年(平成29年)
高齢運転者対策の強化(75歳以上の運転者) 臨時認知機能検査、臨時高齢者講習の新設 認知症のおそれがあると判断された場合には医師の診断書の提出等が必要となった。※医師の診断の結果、認知症と診断された場合は運転免許の取消しまたは停止。
更新時の高齢者講習が認知機能検査結果から区分されるようになった。
日本は高齢化です。認知症の運転者をどう規制していこうかが社会問題となってきます。
「普通自動車」の区分を、「普通自動車」及び「準中型自動車」に見直し。
2019年(令和元年)
走行中の携帯電話等の使用(「ながら運転」)の罰則強化。
事故発生その他交通の危険を生じさせた場合、非反則行為となる。
自動運転車使用に関する罰則の新設
自動車が一般に普及して約100年
と、最後は駆け足で自動車とそれを取り巻く社会の変化、道路交通行政の変化を追ってきました。
自動車が一般に普及して約100年。
道路には人も車もあふれるようになりました。
それをどう捌いていくかが、道路行政です。
技術的には、車の自動運転は目前に迫っています。トヨタは「車を保有する時代は終わり、すぐに車をシェアする時代になる」と言っています。
時代とともに所有の形態も価値観も多様になります。
これからは道路にはさらに多様な車、オートバイ、自転車、歩行者が混在し、移動のための交通手段とレジャー目的の交通手段とが混在することになるでしょう。
道はカオス
民俗学で言えば、昔から道はカオスでした。
名も知れぬ人々が生活のための物資を運んだ経路が「道」となり、道と道が交差した「辻」では「市」が開かれました。
となりの集落とつながった道は、さらにとなりの集落とつながり、さらに隣の集落とつながっていきます。
道は見たことのない場所、つまり「異界」と「異界」をつなぐものでした。
「異界」から見たこともない物、それは物資だけでなく、災いである病気や幸福をもたらす文化や物語、得も言われぬ空気さえ運ばれてきました。
それらをもたらす道はカオスであり、異界と異界が出会う道には「道祖神」が祀られました。
カオスである道を行く人々は、神に旅の無事と安全を祈願したのです。
道は今でも見たことのない場所、「異界」とつながっています。
異界からはどんなものが来るのかわからないのです。 今でも「道」は、決して法律だけ守っていればいい、安全な場所ではないと思ってください。
くれぐれも「自分の身は自分で守る」覚悟を持って、道路を安全に通行してください。
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