ペーパードライバーなら知りたい、自動運転はいつできるの?②

車以外の自動運転は?

飛行機や船のオートパイロットは?

自動運転コクピット

一足先に、飛行機や大型船では自動運転が導入されています。

道ではない場所を行くので、方角と周囲の船や飛行機がレーダーに映れば大丈夫なような気もしますが、細かい操作はそうはいきません。

飛行機で言えば離着陸、船なら港の中など、やはり人の技術のほうが勝っているようです。

飛行機も船も、なんでもない場所ではオートパイロットにすることにより、事故の数は飛躍的に少なくなりました。いわゆるケアレスミスが無くなるからです。でも操作が複雑な離陸は、基本的にはオートパイロットにはできないようです。

一方、着陸はオートパイロットでもできるようですが、マニュアルにして着陸するパイロットのほうが多いようです。

ちなみに、スペースシャトルも着陸のときにはオートパイロットが使えるのですが、最後はマニュアルで操縦する人が多いそうですね。

実証実験でトラックの隊列が走っていましたが、これは遠隔操作なので、自動運転とは違います。

鉄道の自動運転は?

人が立ち入らない限定的な「線路」を走る鉄道は、もっとも自動運転に近い場所であるかもしれません。

ですが現在、完全自動運転なのは「ゆりかもめ」だけです。

これは完全に人の立ち入らない高い場所を走っているためにできることです。新幹線も人の立ち入らない場所を走っていますが、速すぎるスピードのおかげで自動運転にはなっていません。万が一の事故での責任が大きすぎるからでしょう。

万が一の事故・人命をどう考えるか 

技術的には、飛行機も電車も「完全自動運転」に近い水準にあります。

ですが、「たまに起こるイレギュラーな人身事故をどう考えるか」なのです。

まれにであっても「人身事故」を無視できないのは容易に理解できます。数万回に一回でも自動運転の飛行機が墜落して数百名の方が無くなったら、大々的な騒ぎになり、製造者、航空会社、はたまたそれを許可した政府にまで、想像を絶する激しい責任追及が行われるはずです。

交通機関というのは、自動車であろうが飛行機であろうが鉄道であろうが、問題が「人命」に直結します。スマホが不具合で繋がりにくいとか、腕時計が止まってしまったとか言うレベルの話では無いのです。

昭和の人命が軽視されていた時代には、たとえば黒部ダムや炭鉱で「事故で10人死亡しても補償金が1人3000万円であれば3億円。数十億円の予算事業ならば、それも予算に入れてしまう」ということは日常ですたが、現在それは許されないことになっています。

また、自動運転に多数参入しているIT業界の企業ですが、IT業界は「未完成のまま市場に商品を出して、ユーザーに不便をかけながらそのフィードバックによって製品を修正する」という文化の中で育っています。

「ひとつの部品の不具合でもリコールに発展して巨額の損失を被る」という自動車業界とは、業界の文化も完全に違います

誰が責任をとるのか?

令和5年の日本の交通事故死者数は2673人です。これは10年前から1000人近く減っていて、昭和23年に統計を取り始めて以来最も少ない数です。たとえ現時点で100パーセントの「完全自動運転車」になったとしても、歩行者、自転車、オートバイなどが混在する環境ではそれなりの死亡者は出るはずです。半分になるのか、そんなに減らないのか、微妙なところでしょう。

そもそも「完全自動運転車」も機械ですから当然故障しますし、故障が原因で事故を起こした場合には「誰が責任をとるのか」という問題が出てきます。メーカーなのか、所有者なのか、それら法律を許可した政府なのか?
 
車に搭載されている、高性能のカメラを搭載し頭の良くなったAIはさらに高度な判断を求められてしまいます。

故障までしなくとも、こんな議論があります。

マイケル・サンデルの白熱教室ではないですが、あなたも考えてみてください。

「目の前に小さなこどもが飛び出してきた。急ハンドルを切ればこどもの命は80%の確率で助かるが、80%の確率で自動車は側壁にぶつかってあなたは死ぬ」

という場面を、完全自動運転のAIはどう考えるのか、そしてその責任をだれが負うのか、ということです。

運転していて事故に会ったとき咄嗟にハンドルを切る。ドライバーは本能的にハンドルを自分と逆に切るそうです。これは意思というよりも本能です。

ほとんどの動物には、利き手利き足があります。急に敵が目の前に現れたときに考えていては逃げ遅れます。考えずとも咄嗟にどちらに逃げるのか、あらかじめプログラムされているのです。

これがAIになったらどうなのでしょうか。どちらにハンドルを切るべきか、延々と考え続けるのでしょうか。

運転席にはあなた、助手席には奥さんが乗っている時、AIはどちらにハンドルを切るのか。もしかしたら、あえて切らないのか。

そしてハンドルをどちらに切るかというAI結論は、体格の良い男性、こども、女性、老人、金持ちそうな人、貧乏そうな人によって変わってしまうのでしょうか?誰であっても所有者であるドライバーを守るためにひき殺したり、助手席の大切な人を見殺しにしてしまうのでしょうか?

こういったことを考えると、自動車の「完全自動化」にはならないと思いました。

みなさんはいかがでしょうか?

AIに「あえて助手席がぶつかるように学習させておいて、妻の殺害と保険金詐欺」なんてSFがありそうですね。。。

自動運転ロボット

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